2014年 ペン画作品です。
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『満月の夜』は、私の死生観について描いた作品です。
大切な人を亡くして、
初めて「人間」になったような気がしました。
「生きること」について、突然、突きつけられました。
この思いを持ち続けられるように、
精神を平静に保てるように・・・
『満月の夜』が、誰の心にもあることに、
ある日気付くように。
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全てが明るく見えてしまう満月は、テーマとして苦手でした。
ですが、その強い光があるから、一層 暗い闇ができることもまた事実です。
2匹のヤギを自分に置き換えて、
または、この場面を第三者として、
または、月(例えば、神様)の立場で、観てください。
以前体験した出来事やまだ乗り越えていない壁のことを
重ねてみてしまうかもしれません。
衝撃的な場面にするのも、感動的な場面にするのも、
この絵の物語は、観る人の観点や精神状態により変わるでしょう。
でも、倒れたヤギと、立ち尽くすヤギがいることは
変えることができない事実です。
「どんなふうに、死にたいですか?」
「どんなふうに、生きたいですか?」
常に問い続けられる、命という永遠のテーマの入口に
やっと立てた作品だと思っています。
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最後に、この場面を構成しているものについて説明します。
「岩場・岩山」は、日本古来の神話を元に、山岳信仰・結界イメージなどにより、
「未開の地(他に邪魔者が居ない)」を意識しました。
生死というテーマ上、岩は、内臓(子宮:再生を繰り返すもの)のような、
なまめかしさも感じられるような質感にしました。
「ヤギ」は、不安定な場所でも、たくましく生きていて、且つ身近に感じられる
動物ということで選択しました。
同じ種類を2つ並べることにより、古い自分が死に、新しい自分が生まれて、
その抜け殻をただ見ているような、精神的な生死も意識しました。
「満月」は、この作品の最も重要なテーマです。
生きるために、「死」から、目を逸らさないでいること。
この作品を作成するにあたり、最初に1枚、別の作品を描きました。
↓その作品は、こちらです。
●『 月夜の晩 』
https://osaka-art-navi.ocnk.net/product/258
満月は、空にあいた穴で、その穴は、(※)月読様の望遠鏡とつながっているイメージです。
※月読様:
とくに宗教的な意図はありません。
自分を冷静に眺めるための架空の登場人物とお考えください。
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オリジナル作品。
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◆作品概要◆
作品の仕様:顔料インクペン、R画用紙
作品サイズ:タテ520×ヨコ410mm
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