2008年03月19日
先日、奈良で行われた『アトリエ -朱-カーマイン』の展覧会の感想です。
実は、会期中ずっと会場に足を運び、生徒さん・スタッフさんの作品をじっくり鑑賞
させていただきました。
何しろ、これだけの個性がひしめきあう展覧会はなかなか出会えないので、こちらも
かなり真剣になりました。(笑)
この 『アトリエ -朱-カーマイン』さんは、小学生~大学受験生~一般 と、
かなり年齢層の広い生徒さん達が通ってらっしゃるアトリエで、
その作品もかなり様々な作風で、実際にはなかなか実現し得ないアトリエだな、
というのが一番正直な感想でした。
というのも、美術界によくある、「この作風で統一しなさい」というような窮屈さが全く無く、
子ども~大人まで『制作する』喜びを感じる作品でいっぱいだったからです。
他にも、障害のある方達とも積極的に作品作りに取り組み、
彼らの日常生活での表情も和らいできた、と親御さん達からも絶賛のようです。
最近は、カラーセラピーも導入したそうです。
そんな 『アトリエ -朱-カーマイン』の代表者は、橋本修二さんという、二科会の審査員も
務める、若手の画家さんです。
当然ですが、先生と尊敬されるだけあって、作品のみのオーラで観客を黙らせるタイプの
現役作家さんであることは間違いないです。
ただ、画壇にいた頃のような、張り詰めた作風を一転。
観客をその空間に取り込んでしまうような、今までとは別の角度の作家さん自身を
披露していらっしゃいます。
さらに、おもしろいことに、平面・立体・デザイン・陶芸・・・と、
興味のある、ありとあらゆる素材に貪欲に取り組んでいらっしゃいます。
そんな先生の下、アトリエでの制作が楽しくないわけがありません。
子ども達が、のびのびと制作しないわけがありません。
昨今、叫ばれる『ゆとり教育』とは、机上の空論。
これこそがまさに、『ゆとりをもった、自由の体言』とつきつけられたようでした。
教科書を与えられ、勉強する(ふり)に慣れてしまった後、
社会に出て就職してしまえば、無限とも思える自由に誰もが押しつぶされそうになる
経験をしたことがあるでしょう。
このアトリエの『自由』は、何をしたいか自分で決める意志を育てること、または、
何もないところから創り出す発想力を育てることに、貢献しているといっても
過言ではないでしょう。
(むしろ、それが、音楽・美術の時間に求められる正常な授業内容でしょうが)
ただ、やはり、子ども達の性質は大きく変化していて、
情報に関しては、広く知っているのに、深く掘り下げて、納得するまで追求するといった
傾向のある子どもが、少なくなっているように思います。
あ、話が大きく横に逸れてしまいましたが、
とにかく、子ども達の作品が特に、すばらしかった。
逆に、美大生の作品の方が心配なくらいでした。
(もっと、感性に従ってのびのびやったらいいのに、という意味で。)
あ~でも、考えることは大事だって、さっき書いてしまいましたね。
でも、作品は本人の分身。
美大生ならば、もっと、自分の作品は自分が『一番好き(もしくは、嫌い)』と
言えるくらいの、精神をえぐったような作品があってもよかったなぁ、と思いました。
(傾向として、キレイにまとまり過ぎているといえばわかりやすいですかね)
この展覧会、3月の忙しい時期にも関わらず、3日間で芳名だけでも500人越え!!
来年の彼らの作品と、アトリエの新しい試みが、また楽しみです。

※生徒さん達の作品です。無断転用は固くお断りいたします。